大判例

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横浜家庭裁判所 昭和32年(家イ)1191号

一、申立人及び相手方は、同人等の被相続人亡太田鶴吉が参加人佐藤精二の被相続人の父亡佐藤定吉(祖父)から昭和二年二月太田鶴吉の所有にかかる鎌倉市○町○○○○○番の一、家屋番号七〇五、木造亜鉛葺平家居宅建坪二三坪一合七勺、同番地家屋番号七〇六番、木造亜鉛葺平家居宅建坪一二坪五合、計二棟を譲渡担保として提供したうえ金三万円の債務を負つたことを認める。

二、参加人佐藤精二は相手方から既に金五、〇〇〇円を受領したことを認め、残金二五、〇〇〇円を相手方が参加人佐藤精二に昭和三三年六月三〇日までに支払つたと同時に前記二棟の建物の所有権を当事者等に返還し、相手方は上記所有権返還と同時に上記建物のうち、家屋番号七〇六番、木造亜鉛葺平家居宅建坪一二坪五合に対する遺産の持分権を申立人のために主張せず、申立人の単独所有とすること。

三、当事者及び参加人佐藤精二は上記建物を上記の趣旨にて申立人の単独所有名儀とするために必要な一切の登記手続をすること。

四、前記建物のうち、家屋番号七〇五番、建坪二三坪一合七勺の建物については、上記所有権返還と同時に申立人は同建物に対する遺産の持分権を相手方の為に主張せず、相手方の単独所有とすること。

五、当事者及び参加人佐藤精二は上記建物を上記の趣旨にて、相手方の単独所有名儀とするために必要な一切の登記及びその他の手続をなすこと。

六、相手方は参加人(相手方の長男)井橋重と連帯して、申立人に対し上記遺産の持分権放棄の差額として金一〇万円を下記のとおり支払う。

(イ) 金一〇、〇〇〇円は本日支払うこととし、申立人は受領したことを認める。

(ロ) 残金九〇、〇〇〇円は昭和三三年六月三〇日以降、完済にいたるまで毎月末日限り金四、〇〇〇円宛の月賦をもつて申立人に送付して支払う。但し割賦金の弁済を怠り、その額三ヶ月分に達した時は全額一時に請求されても異議はない。

七、上記二棟の建物につき相手方井橋フジにおいて支払つてきた昭和三三年三月分までの公租公課ならびに地代はすべて同人の負担とする。

八、本件遺産分割については、今後上記以外当事者等は何ら財産上の請求を一切しないこと。

九、本件調停費用は各自弁とする。

(家事審判官 菊沢保節 調停委員 門脇寛 調停委員 得能佳吉)

参考 事件の実情

一、被相続人戸主太田鶴吉は昭和十九年○月○日死亡同トクは鶴吉の妻で昭和廿五年○月○日死亡した。

相手方フジ申立人一江は鶴吉トク間に出生せる嫡出子である。

二、被相続人太田鶴吉は家産を傾ける所行の為当時親族相談の上昭和二年弐月その所有に係る別紙目録記載の不動産の所有名儀を親戚の佐藤定吉(三浦郡○○町○○○)となし後日の為定吉から念書一通(甲第一号)の差入れを受け今日に至つた。

三、被相続人戸主鶴吉が昭和十九年死亡せし当時申立人一枝相手方フジは共に他家に嫁し、且相続人の指定もなかつたので選定相続人を定むべき処、その手続をなさず新民法が施行せられるに及んだものである。

依つて新法附則の規定により申立人一枝相手方フジ及鶴吉の妻トクが夫々遺産相続人となつた訳であるが遺産の分割等なさざる内昭和廿五年○月○日右トクも遺産について遺言等何等の措置なく死亡したのでその遺産は直系卑属たる申立人一枝相手方フジが平分相続することとなり結局被相続人鶴吉、トクの遺産はすべて共同相続人申立人一枝相手方フジが等しく共有することとなつた。

四、然る処、相手方フジは同居の高須某の教唆により共同遺産の独占横領を企て第二項記載の不動産の名儀人佐藤精二(前記最初の預り名儀人定吉は昭和十年死亡長男甚蔵「後定吉と改名」家督相続したが昭和十九年戦死によりその長男精二が家督相続し今日に至る)方を右高須某と共に訪問精二の親権者ミヨを欺罔し別紙甲二号証の如き贈与証書なる奇怪な文書に捺印せしめるの挙に出で、且父母の遺産はすべて自分のものなりと放言し申立人の分割請求を一蹴している実情でありますので円満公平な遺産分配(動産及び不動産)を求め本申立に及ぶものであります。

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